い。』と言われた。自分を頼りにするとは、自分の本当の心を頼り
にする、ということだろうか? 大海の真ん中でどちらに進んだら
よいか分からない時、自分の本当の心が進むべき方向を示してくれ
る羅針盤になるのかも知れない。たぶん、自分の本当の心だけが、
この世の中で拠り所となる唯一確かなものなのだろう。――
自分の気持ちを大切にしよう、と考えてきたことは間違っていな
かった。ウィーンに来て良かった。ここに来て瀬川先生のことを思
い出して、どのように生きてゆけばよいのかという、今まで分から
なかったことが、おぼろげながら分かりかけてきたような気がする。
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なく分かるようで分からない言葉だ。だけど、なんだかとても大変
なことを言われたような気がする。全く未知の世界にたった一人放
り出されて、唯、自分の力だけを頼りに生きてゆかなければならな
くなったような、そんな気がする。自分を信じ、自分だけを頼りに
生きてゆく。――そうやって生きてゆくにはよほどの精神的な強さ
を必要とするに違いない。瀬川先生は、この言葉を知って自分が強
くなった、と言われていたけれど、先生は本当にそうやって自分だ
けを頼りに生きておられるのだろう。先生は、『迷ったり悩んだり
した時、自分の本当の心を見つめて、それに従って行動すればよ
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